（戦況） 菊地恭中尉は一九年三月潜校の一〇期学生を卒えて、四月一日附でイ号拗潜の吉田弘俊の後任に発令された。この時、この艦は北太平洋アリューシャン方面で強行偵察任務（前出）に従事中であったため、菊池中尉は呉地区等で待期、久しぶりの静養をとっていたという。艦は四月二九日に作戦を終えて満身創痍で横須賀須賀に入港し、菊池・中尉は出撃直前に着任した。 五月二〇日、横須賀を出撃してマーシャル諸島のミレ島への糧食、弾薬等の輸送作戦に従事した。同艦はミレ島に在泊中の六月一二日前述のとおり、敵機動部隊をサイパン周辺で遊撃すべき命令を受け、急きょ出撃してい、つたが、他の多くの潜水艦と同じトそっな最期を遂げたのである。 六月一九日、この日は機動部隊の航空決戟が行なわれた日であるが、米護衛空母「スワニー」の対潜直衛機（パイロットG・E・サピン子備少尉）に水上航走中を探知発見され、撃沈されている。 同艦の眠る場所は、サイパンとトラックの中間に当る北緯二二度一分、東経一四九度五三分であり、艦長は力久松次少佐であった。 |